アパートや駐車場は相続税評価額が50%減!貸付事業用宅地等に係る小規模宅地等の特例とは

アパートの敷地や駐車場など人に貸している土地については、一定の要件を満たすと相続税評価額が50%減額になります。

目次

貸付事業用宅地等に係る小規模宅地等の特例とは?

どんな特例?

貸付事業用宅地等に係る小規模宅地等の特例とは、

  • 亡くなった人が賃貸物件として使っていた土地を相続
  • 相続した人が亡くなった日から10ヶ月以上保有し貸付事業を継続している場合には、
  • 土地200㎡まで50%評価減ができる

という大変インパクトのある制度です。

賃貸物件として使っていた土地とは、賃貸アパート・賃貸マンション・貸家など賃貸用住宅の敷地、駐車場、貸地の底地部分などで、きちんとお金を取って人に貸していた土地のことをいいます。

評価減の計算方法

評価減される金額の計算方法は次のとおりです。

アパートの敷地250㎡、土地の評価額5,000万円だったら・・・

5,000万円×50%×200㎡/250㎡=2,000万円が評価額から減額されます。

賃貸用住宅であれば、貸家建付地評価と併用可

アパートなどの賃貸用住宅であれば、貸家建付地評価と小規模宅地等の特例との併用ができるため、評価額がグッと下がります。

▼貸家建付地の評価についての記事はこちらをご覧ください。

小規模宅地等の特例を使う際の注意点

青空駐車場には使えない

小規模宅地等の特例は、建物または構築物の敷地であることが大前提です。

よって、土が出ているような青空駐車場には使えません。

駐車場に小規模宅地等の特例を使いたいのであれば、生前にアスファルト舗装などをする必要があります。

賃貸アパートなどの空室がある場合

亡くなった時点で賃貸アパートなどの空室がある場合、空室部分については小規模宅地等の特例を使うことはできません。

ただし、一時的に空室となっていて借りる人を募集しているような場合には、空室であっても賃貸しているものとすることが可能と考えられます。

親族にタダもしくは超格安で貸している場合

貸付事業用宅地等に係る小規模宅地等の特例を使うには、きちんとお金を取って物件を貸していることが要件になります。

したがって、親族にタダもしくは超格安で貸している場合、貸付事業用宅地等とは認められません。

亡くなる前3年以内に貸付を始めた物件は特例の適用対象外(例外あり)

亡くなる前3年以内に新たに貸付を始めた物件には適用できない

亡くなる前3年以内に新たに貸付を始めた物件には、小規模宅地等の特例を適用することができません。

これは、相続税を減らす目的で亡くなる直前にあわてて賃貸物件を購入しても、その物件には小規模宅地等の特例を適用させませんという趣旨です。

しかし、この規定には次の例外があります。

事業的規模であれば、3年以内に新たに貸付を始めた物件でも適用可

もともとある程度の規模で不動産貸付業を行っているのであれば、相続税を減らす目的でにわかに不動産貸付業を始めたのではなく、不動産貸付業を生業にしていると考えられます。

そこで、亡くなった人が3年を超えて事業的規模で不動産貸付業を行っていたのであれば、亡くなる前3年以内に新たに貸付を始めた物件であっても小規模宅地等の特例を適用することができます。

事業的規模とは、所得税でいう5棟10室基準が使われます。

5棟10室基準とは

  • 貸家であれば5棟
  • アパートやマンションなどの集合住宅であれば10室
  • 駐車場であれば50台

くらいの規模の貸付であれば、事業的規模とされます。

小規模宅地等の特例の自宅80%減と賃貸物件50%減は併用可能

小規模宅地等の特例で代表的なのは、亡くなった人の自宅の敷地を相続した場合の80%減です。

自宅の80%減と賃貸物件の50%減のどちらも使える場合、特例をどの土地に使うかは自由に選ぶことができます。

自宅の80%減と賃貸物件の50%減を併用することも可能です。

ただし併用するにはルールがありますので、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

貸付事業用宅地等に係る小規模宅地等の特例のまとめ

  • アパートの敷地や駐車場など、人に貸している土地について小規模宅地等の特例を使うと相続税評価額が200㎡まで50%減。
  • 青空駐車場や親族にタダ同然で貸している物件は特例の適用対象外。
  • 亡くなる前3年以内に新たに貸付を始めた物件は、事業的規模を除いて特例の適用対象外。
  • 自宅80%減と賃貸物件の50%減は併用OK。

賃貸物件に小規模宅地等の特例を使いたいのであれば、物件を買うなら早めに買う、青空駐車場をアスファルト舗装にする、といった対策を取ることが必要です。

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