相続した財産を売るのであれば、そのタイミングによって税金の負担額が変わります。
税金が安くなる特例が使えたり使えなかったりするので気を付けましょう。
亡くなった日から10ヶ月以内に売った宅地には小規模宅地等の特例が使えない
相続した財産のうち、宅地を売るタイミングが早すぎた場合、相続税が安くなる特例が使えなくなります。
その特例とは、小規模宅地等の特例です。
小規模宅地等の特例とは、次に掲げる宅地の評価額が減額される特例です。
小規模宅地等の特例(主なもの)
- 亡くなった人の自宅の敷地を相続すれば330㎡まで80%減額
- 店舗などの事業用の宅地を相続すれば400㎡まで80%減額
- アパートや駐車場など人に貸し付けている宅地を相続すれば240㎡まで50%減額
小規模宅地等の特例は、相続税の申告期限(亡くなった日から10ヶ月)まで宅地を持ち続けることが要件の1つです(配偶者が自宅の敷地を相続する場合を除く)。
この特例は相続税の負担を大きく下げます。
適用する宅地を売るのは、亡くなってから10ヶ月経ってからにしましょう。
相続した財産の売却益にかかる税金が安くなる特例2つ
不動産や株式などを売った場合、売却益が出れば所得税+住民税がかかります。
しかし相続した財産を売った場合、売るタイミングによって売却益にかかる税金が安くなる特例があります。
相続税額の取得費加算の特例
「相続税額の取得費加算」とは、相続した財産を亡くなった日から3年10ヶ月以内に売った場合、払った相続税の一部を売却益からマイナスできる特例です。
つまり相続税を払った人が相続した財産を売った場合、売却益にかかる所得税+住民税が安くなります。
被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」とは、
- 亡くなった人がひとりで住んでいて空き家になってしまった自宅を
- 亡くなった日から3年目の12月31日かつ令和5年12月31日までに売った場合
売却益から3000万円マイナスできる特例です。
この特例は、「昭和56年5月31日以前に建築されたもの」「空き家を耐震リフォームするか取り壊して売ること」など要件がいろいろありますので、詳しくは下の記事をお読みください。
▼「相続税額の取得費加算」と「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」の詳しい要件についてはこちらの記事をご覧ください。
相続した財産を売るタイミングについてのまとめ
- 亡くなってから10ヶ月以内に売った宅地は「小規模宅地等の特例」が使えないので注意。
- 相続した財産は亡くなってから一定の期間内に売ると「相続税額の取得費加算の特例」「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」を使うことで税金が安くなる。
相続した財産を売る予定であれば、売るタイミングで税金が数百万円変わることがあります。
いつ売るのか十分に検討しましょう。