個人事業主が自宅の一部を仕事のために使っている場合、仕事用部分は必要経費にすることができます。
自宅が「賃貸の場合」と「持ち家の場合」に分けてお話いたします。
家事按分の割合
仕事とプライベートにまたがる支払いのうち、仕事に使っている部分については必要経費にすることができます。
これを家事按分といいます。
家事按分の割合は特に決まっておらず、「この分を仕事に使っている」と説明できればOKです。
一般的には、
- 仕事に使っている部分の面積により按分
- 仕事に使っている時間により按分
することが多いです。
自宅が賃貸の場合
自宅が賃貸の場合、
家賃×仕事に使っている部分の割合
を必要経費にすることができます。
家賃15万円/月、自宅面積の1/4を仕事に使っているのであれば、
15万円×12か月×1/4=45万円
を必要経費にすることができます。
自宅が持ち家の場合
自宅が持ち家であれば、
- 自宅の減価償却費
- 自宅の固定資産税
- 住宅ローンがあれば利息
のうち、仕事に使っている部分の割合を必要経費にすることができます。
自宅の減価償却費とは、「自宅建物の購入金額×定額法の償却率」で計算します。
▼減価償却費の詳しい説明はこちらの記事をごらんください。
例えば、
- 自宅建物(木造・住宅用)の購入金額:3,000万円
- 自宅の固定資産税:15万円
- 住宅ローンの利息:10万円
- 自宅の床面積のうち1/4を仕事に使っている
この場合に必要経費にできるのは、
- 自宅の減価償却費:3,000万円×0.046×1/4=345,000円
- 自宅の固定資産税:15万円×1/4=37,500円
- 住宅ローンの利息:10万円×1/4=25,000円
になります。
※ ずっと100%自宅として使っていたものを仕事用に使うことにした場合(「転用」といいます)、減価償却の計算にひと手間必要になります。
住宅ローン控除の適用がある場合の注意点
住宅ローン控除を受けている自宅を仕事用にする場合、仕事用の床面積割合が10%超になると住宅ローン控除をフルに適用できなくなるので注意が必要です。
自宅兼事務所につき住宅ローン控除を受ける場合、仕事用部分の床面積割合により
① 仕事用の床面積が50%超である場合
② 仕事用の床面積が10%~50%以下の場合
③ 仕事用の床面積が10%以下の場合
で住宅ローン控除を受けられる割合が異なります。
▼詳しくはこちらの記事をご覧ください。
まとめ
個人事業主が自宅の一部を仕事用として使う場合、
- 自宅が賃貸の場合は、家賃×仕事に使っている部分の割合
- 自宅が持ち家の場合は、自宅の減価償却費・自宅の固定資産税・住宅ローンの利息のうち仕事に使っている部分の割合
を必要経費にすることができます。
仕事に使っている部分の割合については、合理的に説明できるようにしておきましょう。