財産が不動産メインの場合、生前できるだけ早めに相続の専門家に相談することをおススメします。
不動産メインの場合とは、
- 財産のほとんどを持ち家や賃貸物件が占めている
- 現金、預金、株式など換金性が高い資産があまりない
という状態をいいます。
財産のほとんどが不動産で、生前何の対策をしないまま相続が起きてしまうと、
- 相続税は高いがお金をほとんど相続しないので、納税資金に困る
- 相続人が複数いる場合、分けることが難しく相続争いになる
といったことが起こり、残された家族が困る可能性があるからです。
相続財産が不動産メインだと相続税が高くて払えないことがある
相続財産が現預金や株式がメインの場合、相続税がかかっても相続財産の中から支払うことができるため、納税資金に困ることはありません。
しかし相続財産が不動産メインの場合、相続税は高くつくのに現預金を相続しないため、相続税の支払いが困難になりがちです。
下の家庭を例に見ていきましょう。
- 相続人は子ども2人
- 相続財産は5,000万円の不動産2件、預金500万円
- 相続人1人につき、不動産1件ずつ、預金は250万円ずつ相続する
この場合、相続税は1人につき430万円かかります。
相続した預金は250万円、ということは納税金額に比べて180万円不足します。
この180万円は相続人自身のお金から出さなければなりません。
「納税資金が足りないなら不動産を売ればいいのでは?」と思われるかもしれません。
しかし相続税の申告・納付期限は亡くなってから10か月以内と期間が短く、その期間内に売れるとは限りません。
売れたとしても足元を見られ、安く売る羽目になることもあります。
生前に相続税がどのくらいかかりそうかわかっていれば、不要な不動産を適正な売って納税資金に充てることができたかもしれません。
不動産は相続人が複数いると分けるのが難しい
相続財産が不動産メインの場合、相続人が複数いると分けることが難しいのも悩みです。
これは相続税がかからない家庭でも起こりうる問題です。
例えば
- 相続人は長男と長女の2人
- 相続財産は持ち家がメイン。長男一家と住んでいた。
この場合、長男と長女は1/2ずつ相続権があります。
何も相続対策をしなければ、長女は長男一家を自宅から追い出してでも1/2を確保しようとするかもしれません。
だったら自宅を長男と長女で共有すれば?
共有はあまりおススメできません。
共有にすると、
- 例えば自宅を売りたいときには共有者全員の同意が必要になる
- 共有者に相続が起こればその相続人も共有者になり、共有者が増えて権利関係がどんどん複雑になる
というように面倒なことが起こるためです。
※ 相続時点で相続人全員が売りたいという場合は、共有で相続して売却代金を持分で折半するのもアリです。
生前に対策をしておけば、
- 遺言で長女には遺留分(相続分の半分)に相当する財産のみ残す。
- 長男を死亡保険金の受取人として、相続が起こったら長男が自宅を相続する代わりに長男→長女へ代償金を渡す。
など、できる限り揉めごとを避け、残された家族が困らないようにすることができます。
まとめ
財産が不動産メインの相続は、何かとやっかいなことが起こる可能性があります。
ましてや相続税が下がるからと安易に不動産を購入してしまうと、今度は分けにくさを理由に揉めてしまうかもしれません。
気になるようであれば、早めに相続の専門家に相談しましょう。