決算が近づくと「今期は利益が出そうだからもっと経費を使った方がいいのかな?」という相談を受けることがあります。
利益が出るタイミングで必要な設備投資をするのは推奨しますが、中には税金を払いたくないために無理やり経費を増やそうと努力される方もいます。
しかし無駄なモノを買うくらいなら、実は税金を払った方が会社にお金が残るのです。
税金を払うくらいなら経費を使おうと考える経営者は多い
税金は、利益に税率をかけて計算されます。
したがって、税金を減らすには利益が少なければいいのです。
すなわち「経費を増やせば利益が減り、その結果税金が減る」ということになります。
決算の数ヶ月前に納税予測をお伝えすると、「そんなに税金払うんだったらもっと経費を使わなきゃ!」というお客様は多いです。
せっかく頑張って利益を出したのに、税金としてがっぽり持っていかれることに抵抗がある人がほとんどでしょう。
私も税金の納付書が来ると「うへぇ!」と思うので、お気持ちはとてもよくわかります。
しかし税金を減らすためにやみくもに経費を使う、というのは決しておススメしません。
使っていい経費と使っていけない経費
利益が出るから経費を使ったほうがいいかどうか。
それは経費の使い方によります。
使っていい経費
使っていい経費とは、ズバリ必要なものを買うことです。
儲かっている時に設備投資をするのはいいことです。
必要なモノが手に入り、なおかつ税金が減ります。
積極的に投資をしましょう。
使っていけない経費
使っていけない経費とは、税金を払いたくないからといって余計な経費を使うことです。
確かに何か買えば利益は減るので税金は減ります。
しかし、会社にお金を残したいのであれば、余計なことに使わずに税金を払った方がいいのです。
図を使って説明します。
- 税率:法人税+事業税+住民税で利益の約30%
- 利益:100
- 1年間に増えたお金(税金を払う前):利益と同額の100
利益100の場合に会社に残るお金
このまま税金を計算すると、利益100×30%=30が会社から出ていきます。
会社に残るお金は100-30=70です。
利益100から経費50を使った場合に会社に残るお金
利益100から経費50を使ったとします。
最終的な利益は100-50=50になります。
税金は50×30%=15です。
したがって、会社に残るお金は50-15=35になります。
もうおわかりですよね。
利益100のままであれば税金は30発生するが、会社にお金が70残ります。
一方、ムリに経費を50使えば税金は15に減るが、会社には35しかお金が残りません。
文字にすると当たり前のことのようですが、税金を減らすために駆け込みで余計な経費を使おうとする経営者は多いと感じます。
まとめ
利益が出そうなときの経費の使い方は
- 必要なモノへの投資はぜひすべし。
- 余計な経費を使うよりは税金を払った方が会社にお金が残る。
この話をお客様にすると納得していただけます。
会社にお金を残す経営が大事です。