世の中は常に変化していきます。
「自分だけは変わりたくない」と思っても、周りが変化すれば自分も変化せざるを得ません。
変化にどう向き合うか、ある本を読んで考えさせられました。
大泉洋著 大泉エッセイ
この記事を書くきっかけとなったのは、大泉洋さん著「大泉エッセイ」を読んだことです。
この本は、大泉さんが24歳~32歳(1997年~2005年)の8年間にわたり雑誌に連載してきたエッセイ集です。
そして刊行時40歳になった大泉さんが各エッセイを読み返し、当時の自分に対して「オチを付けろ!」とツッコんだり、エッセイを書いた時の心境を振り返りコメントを入れたりするというちょっと変わったスタイルの本です。
エッセイの内容はしょーもない妄想みたいなものから家族の話、仲間の話、仕事の話、旅の話、水曜どうでしょうの裏話など、笑えるものからほっこりするもの、ちょっと考えさせられるものなど幅広く、大泉さんがあたかもしゃべっているかのような独特な文体で綴られています。
この中で最も印象に残ったのが、「スタンスについて考える」というタイトルの話です。
世の中は変化だけが不変だ
「スタンスについて考える」とは、北海道のいちローカルタレントであった大泉さんが全国での露出が増え、「ローカル感」が薄れていっていることに悩んだころに「変化」について書かれた話です。
基本的には北海道で仕事ができればそれでよいと思っていたのです。でもある時思ったんですね。「現状維持でいいと思った男に現状維持ができるのか」と。漠然とした不安でした。前に進もうと必死に頑張ったやつだけが、やっと現状を維持出来るのかなと思うようになりましてね。
(出典)大泉エッセイ
現状維持するのは難しい。
ハッとさせられる言葉です。
私も食べてさえいければ、できるだけ波のない人生がいいと思っていました。
でも漫然と同じことをやっているだけであれば、それすらもままならないということです。
大泉さん曰く、「伝統を守り続けている人であっても、昔と同じものを守り抜くためには昨日よりももっと良いものを、と努力して初めてできることじゃないかと思う」と。
「世の中は変化だけが不変だ」
(出典)大泉エッセイ
元は誰のことばかわかりませんが。
世の中、変わりたくなくても何事も変わっていきます。
変わっていく中で大事なことは、「その時何を信じて生きているか」そして「信じるものをどれだけあっさり見直せるか」。
変化にあわせて柔軟にということなんでしょうが、今まで信じてきたものを見直すというのは簡単なようで難しいです。
「そんなことはできない」を次の瞬間には「ちょっとやってみよう」と思えれば、世界の見え方が全く違ってくるはずなのです。やれない事ではないはずなのです。
「できない」って思っているのも自分だし、「できる」って思うのも自分なわけですから、自分でそう思う分には簡単なはずなんですよね。
(出典)大泉エッセイ
私もかなりのビビリなので「できない」と思い込むことが多いです。
ひとりで仕事をしてみようなんて恐ろしいことでした。
でも「ちょっとやってみよう」でとにかく1歩踏み出してみると、確かに世の中の見え方が違ってきます。
踏み出した1歩から「じゃあ次はこれをやってみるか」と2歩目、3歩目が見えてくる。
いきなりがっつり進まなくても、1歩1歩できることを少しずつ進んでいけばそれでいいのではないでしょうか。
たとえ遠回りしてもつまずいたとしても、歩んだその道は正しいと思うのです。
まとめ
大泉さんほどの変化がある人はそうはいませんが、誰にでも起こる「変化」。
短いエッセイではありますが、変化に対する葛藤や思考がよくわかります。
特に「伝統を守る人でも昨日よりももっと良いものをと努力することで伝統を守り抜くことができる」という一説は非常に説得力があり、言葉の選び方がうまいな~と思います。
とても勇気づけられる1冊です。