「相続対策」と聞くと、「相続税の節税対策」と考える人は多いのでしょうか?
しかし相続対策は相続税の節税対策だけではありません。
相続税がかからない人でも相続対策が必要かもしれません。
相続対策とは、
- 遺産の分け方を決める
- 相続税の納税資金を確保する
- 相続税の節税
の3つであり、考える優先順位は上記の順番です。
①はすべての人、②③は相続税がかかる人が考える事項になります。
1.遺産の分け方を決める
遺産の分け方を決めるのは、なにも相続税がかかる人だけではありません。
相続税がかからない人も含むすべての人が考える必要があります。
意外に思われるかもしれませんが、実は相続で揉めるのは、相続税がかからないもしくはかかっても少額の家族が大多数です。
遺産のうちに自宅が占める割合が大きく、分けるのが難しいケースが多いからです。
実際、家庭裁判所の調停に持ち込まれる案件のうち、4分の3以上が遺産額5,000万円以下のふつうの家庭です。
▼裁判所が出している家庭裁判所に持ち込まれた遺産額別の遺産分割調停事件データです。
分け方の対策は、生前に
- 遺言書を書いておく。
- 相続人にどう分けたいかを伝える。
といったことがあげられます。
また、分け方をあまり考えずに相続税を下げることを最優先するのも考えものです。
例えば、現金で1億円持っているよりも不動産を1億円で買った方が相続税は安くなります。
しかし不動産は分けにくい財産です。
相続税は安くなっても相続人間で揉める原因になる可能性が高くなります。
2.相続税の納税資金を確保する
相続税がかかる人は、納税資金があるかどうかを確認しましょう。
相続税は亡くなってから10ヶ月以内に現金一括納付が原則です。
どうしても現金一括納付が難しければ
- 延納(分割納付)
- 物納
という方法もありますが、要件が厳しいです。
亡くなってから不動産を売ろうとしても、期限内に売れるかわかりませんし、売れても足元を見られ安く買いたたかれるかもしれません。
お元気なうちに早めに
- 相続財産の洗い出し
- 相続税がいくらかかりそうかのシミュレーション
- 不動産など生前に売れそうなものはないか
- 生命保険
- 生前贈与
を検討し、いざという時のために備えておくと安心です。
3.相続税の節税
相続税がかかる人は、最後に相続税の節税を考えましょう。
節税方法は、
- 生命保険に加入して相続税の非課税枠を利用する。
- 生前贈与を利用して計画的に財産を次の世代に移す。
- 自宅の敷地につき小規模宅地等の特例が適用できるようにする。
などがあげられます。
アパートなどを建てる節税方法もよく使われますが、不動産経営は難しいので安易に手を出すべきではないでしょう。