小規模宅地等の特例とは、亡くなった人の自宅の敷地を相続した場合に、330㎡を限度に土地の評価額の80%を減額できるという減税効果が高い制度です。
しかし、亡くなった人が老人ホームに入居して自宅に住んでいなかった場合、小規模宅地等の特例は使うことができるのでしょうか?
小規模宅地等の特例は亡くなった人が老人ホームに入居していた場合でも使える
小規模宅地等の特例は、亡くなった人が老人ホームに入居していた場合でも、下記の要件を満たしていれば使うことができます。
亡くなった人が老人ホームに入居していた場合の小規模宅地等の特例の適用要件
- 亡くなった人が要介護認定または要支援認定を受けている。
- 亡くなった人が老人福祉法等に規定する老人ホームに入居していた。
- 老人ホームに入居後、自宅は空き家or老人ホーム入居前からの同居親族or生計を一にする親族が住んでいて、他人に貸していない。
あとは、誰が自宅の土地を相続したかによって小規模宅地等の特例が使えるかどうかが決まります。
※「家なき子」とは、持ち家を持っていないなどの要件を満たす親族をいいます。詳しくは「自宅の敷地の評価額の80%下げる小規模宅地等の特例」の記事をご覧ください。
※「生計が一」とは、生活のおサイフが一緒ということです。
▼貸付事業用宅地等の50%減額の記事はこちらをご覧ください。
認可された老人ホームであることが必要
老人ホームに入居していた人の自宅の敷地に小規模宅地等の特例を使うには、入居していた老人ホームが下記に該当する必要があります。
- 老人福祉法に規定する認知症高齢者グループホーム、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム又は有料老人ホーム
- 介護保険法に規定する介護老人保健施設
- サービス付き高齢者向け住宅 など
大抵は対象になりますが、中には都道府県への届出を行っていない老人ホームもありますので、都道府県などのホームページで確認するとよいでしょう。
要介護認定・要支援認定の等級は関係ある?申請中に亡くなったら?
小規模宅地等の特例の適用を受けるのに、亡くなった人の要介護認定・要支援認定の等級は関係ありません。
したがって認定さえ受けていれば特例を使うことができます。
また、亡くなった時に要介護認定等の申請中であっても小規模宅地等の特例の適用を受けることができます。
亡くなった後に要介護認定等があったときは、その効力は申請日にさかのぼって発生するからです。
住民票は自宅のまま移していなくても大丈夫?
老人ホームに入居する際、住民票は自宅のままで移していないことが多いです。
しかし小規模宅地等の特例の適用において、住民票が自宅と老人ホームのどちらにあるかは問題視されません。
したがって住民票が自宅のままでも老人ホームに移しても、小規模宅地等の特例の適用は可能です。
亡くなった人が老人ホームに入居していた場合の小規模宅地等の特例のまとめ
- 亡くなった人が老人ホームに入居していても、要件を満たせば自宅の小規模宅地等の特例は使える。
- 認可された老人ホームに入居していないと小規模宅地等の特例は使えないので、自治体のホームページなどで確認する。
- 要介護認定等の等級は問わない。また亡くなった時に認定申請中でもOK。
- 住民票は移していても移していなくてもOK。
老人ホームに入居後、自宅をうっかり人に貸してしまうと小規模宅地等の特例が使えなくなるかもしれません。
入居後に自宅はどうするのか、しっかり検討しましょう。